せいぞんりゆうとしてのてつがく ――てつがくかいにあたうるしょ―― |
生存理由としての哲学 ――哲学界に与うる書―― |
冒頭文
時代は行動を必要とする、あらゆるものが政治的であることを要求している。このときしかし、哲学するということは、およそ人間の生存理由もしくは意義をなし得るであろうか。人間の「レエゾン・デエトル」として、哲学はいかなるものであるべきであろうか。これは現代において、すべての哲学者にとって、最も切実な問題でなければならぬ。哲学が学問としていかなるものであるべきかということも、かようなレエゾン・デエトルとして
文字遣い
新字新仮名
初出
「読売新聞」1933(昭和8)年4月19日
底本
- 現代日本思想大系33
- 筑摩書房
- 1966(昭和41)年5月30日