じこをちゅうしんに
自己を中心に

冒頭文

まだ迷いはなかなか無くならないが、迷いながらもやや安心していられる年齢に私も達したように思う。 人生の上でも、仕事の上でも、私はすでに多くのことを経験してきた。そして翻って考えるとき、私はやはり自分自身に還り、その上に腰を据えてやってゆくのほかないと思う。自分を中心にして仕事をしてゆくこと、それがけっきょく社会のために尽くすことになるのだと考える。自分というものを抽象して社会はないはずで

文字遣い

新字新仮名

初出

「都新聞」1939(昭和14)年1月9日

底本

  • 現代日本思想大系33
  • 筑摩書房
  • 1966(昭和41)年5月30日