ばくまついしんかいこだん 20 ゆうげいにはえんのなかったはなし
幕末維新懐古談 20 遊芸には縁のなかったはなし

冒頭文

上野の戦争が終(す)んで後私が十八、九のことであったか。徳川家に属した方の武家などは急に生活の道を失い、ちりぢりばらばらになって、いろいろな身惨(みじめ)な話などを聞きました。でも、町家の方はそうでもなく、やっぱり、夏が来れば店先へ椽台(えんだい)などを出し、涼みがてらにのんきな浮世話しなどしたもの……師匠は仕事の方はなかなかやかましかったが、気質(きだて)は至って楽天的で、物に拘泥(こうでい)し

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(平成7)年1月17日