ばくまついしんかいこだん 19 うえのせんそうとうじのことなど
幕末維新懐古談 19 上野戦争当時のことなど

冒頭文

慶応四年辰年(たつどし)の五月十五日——私の十七の時、上野の戦争がありました。 今日から考えて見ると、徳川様のあの大身代が揺ぎ出して、とうとう傾いてしまった時であった。その時、何もかも一緒にいろいろなことが湧(わ)いて来る。先ほど話した通り、四時の循環なども、ずっと変調で、天候も不順、米も不作、春早々より雨降り続き、三、四月頃もまるで梅雨(つゆ)の如く、びしょびしょと毎日の雨で、江戸の市

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(平成7)年1月17日