きがんじょう アルセーヌ・ルパン
奇巌城 アルセーヌ・ルパン

冒頭文

一 夜半の銃声 懐中電灯の曲物 レイモンドはふと聞き耳をたてた。再び聞(きこ)ゆる怪しい物音は、寝静(ねしずま)った真夜中の深い闇の静けさを破ってどこからともなく聞えてきた。しかしその物音は近いのか遠いのか分(わか)らないほどかすかであって、この広い屋敷の壁の中から響くのか、または真暗(まっくら)な庭の木立の奥から聞えてくるのか、それさえも分らない。 彼女はそっと寝床

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 小學生全集第四十五卷 少年探偵譚
  • 興文社、文藝春秋社
  • 1928(昭和3)年12月25日