しがつばか
四月馬鹿

冒頭文

はしがき 武田さんのことを書く。 ——というこの書出しは、実は武田さんの真似である。 武田さんは外地より帰って間もなく「弥生さん」という題の小説を書いた。その小説の書出しの一行を読んだ時私はどきんとした。 「弥生さんのことを書く」 という書出しであった。 その小説は、外地へ送られる船の中で知り合った人の奥さん(弥生さん)を、作者の武田さんが東京へ帰っ

文字遣い

新字新仮名

初出

「光 五・六月合併号」1946(昭和21)年6月

底本

  • 世相・競馬
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 2004(平成16)年3月10日