あごじゅうろうとりものちょう 19 りょうごくのおおくじら
顎十郎捕物帳 19 両国の大鯨

冒頭文

二十六夜待(やまち) 七月二十六日は二十六夜待で、芝高輪、品川、築地の海手(うみて)、深川洲崎、湯島天神の境内などにはほとんど江戸じゅうの老若が日暮まえから押しだして月の出を待つ。 なかんずく、品川はたいへんな賑い。名のある茶屋、料理屋の座敷はこの夜のためにふた月も前から付けこまれる。 海にむいた座敷を打ちぬいてだれかれなしの入れごみ。衝立もおかず仕切もなく、煤払いの日の

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 久生十蘭全集 Ⅳ
  • 三一書房
  • 1970(昭和45)年3月31日