あごじゅうろうとりものちょう 16 きくこうすい |
| 顎十郎捕物帳 16 菊香水 |
冒頭文
恍(とぼ)けた手紙「……手紙のおもむき、いかにも承知。……申し越されたように、この手紙の余白に、その旨を書きつけておいたから、これを御主人に差しあげてくれ」「それで、御口上は?」 若いくせに、いやに皺の多い古生姜(ひねしょうが)のようなひねこびた顔で、少々ウンテレガンらしく、口をあけてポカンと顎十郎の顔を見あげながら、返事を待っている。 「わからねえ奴だな。……だから、お前の持って来た手紙のはし
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 久生十蘭全集 Ⅳ
- 三一書房
- 1970(昭和45)年3月31日