あごじゅうろうとりものちょう 12 かんりんまるうけとり |
| 顎十郎捕物帳 12 咸臨丸受取 |
冒頭文
川風(かわかぜ)「阿古十郎さん、まア、もうひとつ召しあがれ」「ごうせいに、とりもつの」「へへへ」「陽気のせいじゃあるまいな」「あいかわらず、悪い口だ。……いくらあっしが下戸(げこ)でも、船遊びぐらいはいたします。……これがあたしの持病でね。……まア、いっぱい召しあがれ」 川面(かわも)から映(て)りかえす陽のひかりが屋根舟の障子にチラチラとうごく。 むこうは水神(すいじん)の森。波止めの杭に柳
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 久生十蘭全集 Ⅳ
- 三一書房
- 1970(昭和45)年3月31日