あごじゅうろうとりものちょう 07 たこ
顎十郎捕物帳 07 紙凧

冒頭文

新酒 「……先生、お茶が入りました」 「う、う、う」 「だいぶと、おひまのようですね。……鞴祭(ふいごまつり)の蜜柑がございます、ひとつ召しあがれ」 「かたじけない。……季節はずれに、ひどくポカつくんで、うっとりしていた」 大きなあくびをひとつすると、盆のほうへ手をのばして蜜柑をとりあげる。 十一月の入りかけに、四五日ぐっと冷えたが、また、ねじが戻って、この三四日は、春のよ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 久生十蘭全集 Ⅳ
  • 三一書房
  • 1970(昭和45)年3月31日