あごじゅうろうとりものちょう 02 いなりのつかい
顎十郎捕物帳 02 稲荷の使

冒頭文

獅子噛(しかみ) 春がすみ。 どかどんどかどん、初午(はつうま)の太鼓。鳶がぴいひょろぴいひょろ。 神楽の笛の地へ長閑にツレて、なにさま、うっとりするような巳刻(よつ)さがり。 黒板塀に黒鉄の忍返し、姫小松と黒部を矧(は)ぎつけた腰舞良(こしまいら)の枝折戸から根府川の飛石がずっと泉水のほうへつづいている。桐のずんどに高野槇(こうやまき)。かさ木の梅の苔にもさび

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 久生十蘭全集 Ⅳ
  • 三一書房
  • 1970(昭和45)年3月31日