インドラのあみ
インドラの網

冒頭文

そのとき私は大へんひどく疲(つか)れていてたしか風と草穂(くさぼ)との底(そこ)に倒(たお)れていたのだとおもいます。 その秋風の昏倒(こんとう)の中で私は私の錫(すず)いろの影法師(かげぼうし)にずいぶん馬鹿(ばか)ていねいな別(わか)れの挨拶(あいさつ)をやっていました。 そしてただひとり暗(くら)いこけももの敷物(カアペット)を踏(ふ)んでツェラ高原をあるいて行きました。 こけも

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • インドラの網
  • 角川文庫、角川書店
  • 1996(平成8)年4月25日