やなぎはらあきこ(びゃくれん)
柳原燁子(白蓮)

冒頭文

一 ものの真相はなかなか小さな虫の生活でさえ究(きわ)められるものではない。人間と人間との交渉など、どうして満足にそのすべてを見尽せよう。到底及びもつかないことだ。 微妙な心の動きは、わが心の姿さえ、動揺のしやすくて、信実(まこと)は書きにくいのに、今日(こんにち)の問題の女史(ひと)をどうして書けよう。ほんの、わたしが知っている彼女の一小部分を——それとて、日常傍(かたわ)ら

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 新編 近代美人伝 (下)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1985(昭和60)年12月16日