ひらつかあきこ(らいちょう)
平塚明子(らいてう)

冒頭文

一 らいてうさま、 このほどお体は如何(いかが)で御座いますか。爽(さわ)やかな朝風に吹かれるといかにもすがすがしくて、今日こそ、何もかもしてしまおうと、日頃のおこたりを責められながら、私は、貧乏な財袋(さいふ)よりもなお乏しい頭の濫費をしつつ無為な日を送っております。 御あたりはお静かでございますか。田舎(いなか)での御生活は、どこやら不如意(ふにょい)なようでいて、充

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人画報」1922(大正11)年9月

底本

  • 新編 近代美人伝 (上)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1985(昭和60)年11月18日