せかいのにほんか、あじあのにほんか
世界の日本乎、亜細亜の日本乎

冒頭文

日本は自ら足れりとする乎。將た之を廣大ならしむべき乎。偉大を好む國民は、自ら進みて此の問題を解釋し、國人が發見したる新島嶼を收并するをすら拒絶して、以て退守自ら安ぜんとせる當局を刺激して、日本を廣大ならしむ。知らず廣大にせられたる此の日本をして、『世界の日本』たらしめんとする乎。抑もまた『亞細亞の日本』たらしめんとする乎。 世は戰勝の凱歌に醉ふて、頻りに世界の日本と號し、地球上の大國民と號し、揚

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「國民之友」1895(明治28)年4月13日

底本

  • 明治文學全集 36 民友社文學集
  • 筑摩書房
  • 1970(昭和45)年4月30日