しんゆうたいかん
深憂大患

冒頭文

今や我國家、朝鮮の爲めに師を出し、清國の勢力を朝鮮より一掃し、我公使をして其改革顧問たらしめ、我政治家をして、其の參贊たらしむ。朝鮮あつて以來、我勢力の伸張する、未だ曾て此の如きはあらず。此に於てか國民、揚々として自得し、朝鮮を以て純乎たる我藩屏と信じ、其政治家は一に我に負かざる者と信ず、また前途の憂患を慮らず。然れども知らず耶、吾人の深憂大患は實に朝鮮より來らんとするを。吾人が朝鮮を得たるは、實

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「國民之友」1895(明治28)年4月23日

底本

  • 明治文學全集 36 民友社文學集
  • 筑摩書房
  • 1970(昭和45)年4月30日