枕(まくら)に就(つ)いたのは黄昏(たそがれ)の頃(ころ)、之(これ)を逢魔(あふま)が時(とき)、雀色時(すゞめいろどき)などといふ一日(いちにち)の内(うち)人間(にんげん)の影法師(かげぼふし)が一番(いちばん)ぼんやりとする時(とき)で、五時(ごじ)から六時(ろくじ)の間(あひだ)に起(おこ)つたこと、私(わたし)が十七の秋(あき)のはじめ。 部屋(へや)は四疊(よでふ)敷(し)