こどくかんだん
孤独閑談

冒頭文

食堂の二階には僕の外にノンビリさんと称ばれる失業中の洋服職人が泊つてをり、心臓と脚気が悪くて年中額に脂汗を浮かべ、下宿料の催促を受けて「自殺したうなつた」かう呟きながら階段を降りたり上つたりしてゐたが、食堂の娘の家出に就て、女学校の四年生に弁当の配達をさせるのがいけないのだ、と非常にアッサリ断定した。路で友達に逢うたら羞しうて気持の荒(すさ)ぶ年頃やさかい、かう言ふ。女学校へあげるくらゐなら竈の前

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 坂口安吾全集 03
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年3月20日