ひかりのすあし
ひかりの素足

冒頭文

一、山小屋 鳥の声があんまりやかましいので一郎は眼をさましました。 もうすっかり夜があけてゐたのです。 小屋の隅から三本の青い日光の棒が斜めにまっすぐに兄弟の頭の上を越して向ふの萱(かや)の壁の山刀やはむばきを照らしてゐました。 土間のまん中では榾(ほだ)が赤く燃えてゐました。日光の棒もそのけむりのために青く見え、またそのけむりはいろいろなかたちになってついつい

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 宮沢賢治全集5
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1986(昭和61)年3月25日