よづり
夜釣

冒頭文

これは、大工(だいく)、大勝(だいかつ)のおかみさんから聞(き)いた話(はなし)である。 牛込築土前(うしごめつくどまへ)の、此(こ)の大勝棟梁(だいかつとうりやう)のうちへ出入(でい)りをする、一寸(ちよつと)使(つか)へる、岩次(いはじ)と云(い)つて、女房持(にようばうもち)、小兒(こども)の二人(ふたり)あるのが居(ゐ)た。飮(の)む、買(か)ふ、摶(ぶ)つ、道樂(だうらく)は少

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「新小説」春陽堂、1911(明治44)年

底本

  • 鏡花全集 巻十四
  • 岩波書店
  • 1942(昭和17)年3月10日