やだつせこあてしょかん
矢田津世子宛書簡

冒頭文

御手紙ありがたく存じました。御身体御大切に。身体が弱ると、思想が弱くなるのでいけません。 小生、今月始めから漸く仕事にかかりました。この仕事を書きあげるために命をちぢめてもいいと思っています。今の仕事は、存在そのものの虚無性(存在そのものの、と言うよりほかに今のところは仕方がないのですが)を知性によって極北へおしつめてみようとしているのです。この小説が終ったら、僕の生活に飛躍がくるかも知

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 坂口安吾選集 第二巻小説2
  • 講談社
  • 1983(昭和58)年1月12日