ジョオジ・ムウア
ジヨオジ・ムウア

冒頭文

わたくしはこのごろジヨオジ・ムウアの書いたものを讀んでゐる。それについての話を少しして見よう。別にムウアの書物が珍らしいといふのではない。今まであまり人の口にかゝらなかつたと云ふまでゝあるが、むかふでも多少評判になつてきてゐるやうである。なかなか變つたことを書いてゐる。そのまた文章が素敵におもしろい。ムウアはもう六十四五歳にもなるかとおもふ。 ムウアは美術の評論が得意で、文學のこともあげ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文章世界」1910(明治43)年8月

底本

  • 明治文學全集99 明治文學囘顧録集(二)
  • 筑摩書房
  • 1980(昭和55)年8月20日