しちがつなのか
七月七日

冒頭文

朝から蒸暑かつた。とろんとした乳白の雲が低く淀んでゐて、空氣がじとじとして、生汗をかいてゐるやうな日である。 少し頭をぼつとさせて、外出先から家に歸りつくと間もなく、有島壬生馬さんの令弟のY君が見えた。これから一緒に「滯歐記念展覽會」を見にゆかないかと云ふことである。この畫の會は、南薫造さんと有島さんとが長い期間の外遊中に制作してためておいた畫幀を、歸朝後はじめて一般に公開して鑑賞させようとい

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「早稻田文學」1910(明治43)年8月

底本

  • 明治文學全集 99 明治文學囘顧録集(二)
  • 筑摩書房
  • 1980(昭和55)年8月20日