おさないしゃひょう
小山内謝豹

冒頭文

小山内君は一時謝豹といふ雅號を用ゐてゐました。それをおぼえてゐる人は恐らく稀でせう。もう十五六年も前のことになります。そのころ生田葵君のやつてゐた「活文壇」といふ雜誌に、知與子とか謝豹とか署名して、ちよくちよくシエレエの詩の飜譯が出たものです。「わが靈は魔に醉ふ舟か、夢を見る鵠の如」とか、「山、柯(こむら)、ま淵の間を」とか、さういふ詩句を讀むと行きわたつて充實してゐる中に、柔らかな調子がよく出て

文字遣い

旧字旧仮名

初出

初出不詳

底本

  • 明治文學全集99 明治文學囘顧録集(二)
  • 筑摩書房
  • 1980(昭和55)年8月20日