ろくごうしつ
六号室

冒頭文

(一) 町立病院(ちやうりつびやうゐん)の庭(には)の内(うち)、牛蒡(ごばう)、蕁草(いらぐさ)、野麻(のあさ)などの簇(むらが)り茂(しげ)つてる邊(あたり)に、小(さゝ)やかなる別室(べつしつ)の一棟(むね)がある。屋根(やね)のブリキ板(いた)は錆(さ)びて、烟突(えんとつ)は半(なかば)破(こは)れ、玄關(げんくわん)の階段(かいだん)は紛堊(しつくひ)が剥(は)がれて、朽(く

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝界」1906(明治39)年4月

底本

  • 明治文學全集 82 明治女流文學集(二)
  • 筑摩書房
  • 1965(昭和40)年12月10日