サガレンとはちがつ
サガレンと八月

冒頭文

「何の用でここへ来たの、何かしらべに来たの、何かしらべに来たの。」 西の山地から吹(ふ)いて来たまだ少しつめたい風が私の見すぼらしい黄いろの上着(うわぎ)をぱたぱたかすめながら何べんも通って行きました。 「おれは内地の農林(のうりん)学校の助手(じょしゅ)だよ、だから標本(ひょうほん)を集(あつ)めに来たんだい。」私はだんだん雲の消(き)えて青ぞらの出て来る空を見ながら、威張(いば)っ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • ポラーノの広場
  • 角川文庫、角川書店
  • 1996(平成8)年6月25日