やくどし
厄年

冒頭文

一 故郷(くに)へ帰らうか、それとも京都へ行かうか、平三は此の問題に二日間悩まされた。同じことを積んだり崩したりして何時までも考がまとまらなかつた。 彼は毎年夏季休暇には帰省するを常として居たが、今年は最初から京都で暮さうと思つて居た。それは故郷の生活の単調無為なのに懲(こ)りて居るのと、他に厭な事情もあるのと、一つは京都は彼の第二の故郷とも言ふべき土地であり、その上もう六七年

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 現代日本文学全集 34
  • 筑摩書房
  • 1955(昭和30)年9月5日