みやこのめ
都の眼

冒頭文

留吉(とめきち)は稲田の畦(あぜ)に腰かけて遠い山を見ていました。いつも留吉の考えることでありましたが、あの山の向うに、留吉が長いこと行って見たいと思っている都があるのでした。 そこには天子様のお城があって、町はいつもお祭りのように賑(にぎや)かで、町の人達は綺麗(きれい)な服をきたり、うまいものを食べて、みんな結構な暮(くらし)をしているのだ。欲しいものは何でも得られるし、見たいものは

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 童話集 春
  • 小学館文庫、小学館
  • 2004(平成16)年8月1日