きょうかしあかちょこべえ はかためいぶつひにんたんてい
狂歌師赤猪口兵衛 博多名物非人探偵

冒頭文

「オ……オ……和尚様。チョ、チョット和尚様。バ……妖怪(ばけもの)が……」 まだ薄暗い方丈の、朝露に濡れた沓脱(くつぬぎ)石まで転(こ)けつまろびつ走って来た一人の老婆が、疎(まば)らな歯をパクパクと噛み合わせて喘(あえ)いだ。 「ナ……何で御座る。もう夜が明けておるのに……バ……バ……バケモノとは……」 方丈の明障子をガタガタと押開けて大兵肥満の和尚が顔を突出したが、これも見か

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 夢野久作全集6
  • 三一書房
  • 1969(昭和44)年12月31日