かまどのなかのかお
竈の中の顔

冒頭文

Ⅰ 「今日も負かしてやろうか」 相場三左衛門(あいばさんざえもん)はそう云ってから、碁盤(ごばん)を中にして己(じぶん)と向いあっている温泉宿(ゆやど)の主翁(ていしゅ)の顔を見て笑った。 「昨日(さくじつ)は、あまり口惜(くや)しゅうございましたから、睡(ねむ)らず工夫(くふう)しました、今日はそう負けはいたしません」 主翁(ていしゅ)は淋しそうに笑って手にした石をおろし

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日