いずみきょうかさく『げかしつ』
泉鏡花作『外科室』

冒頭文

明治二八・七・二三『國民之友』二五七號 落莫たる文藝倶樂部に於て、吾人二人、新進作家を得る、曰く泉鏡花、曰く三宅青軒。 その第六篇掲ぐる所の鏡花の新作『外科室』、僅々十三頁に出でざる短篇と雖、然も其の短篇なるが故に、寸鐵人を殺すの氣あり。 某伯爵の夫人、疾を得て某病院の外科室にあり、一醫學士の手術を經、半途に手術者の手を拉して遽かに自刃し、手術者も亦同日に自刃す。渠等は曾て小石川植物園に於て

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「國民之友」1895(明治28)年7月23日

底本

  • 鏡花全集 卷二 月報2
  • 岩波書店
  • 1942(昭和17)年9月30日