まっかなほのほまえせん
真紅な帆の帆前船

冒頭文

遠江(とおとうみ)の御前崎(おまえざき)へ往ったのは大正十四年の二月二日であった。岬には燈台があって無線電信の設備もあった。その燈台の燈光は六十三万燭で十九浬(かいり)半の遠距離に及ぶ回転燈であった。私は燈台の中を見せてもらって、その後(あと)で窓の外へ眼をやった。沖あい遥(はるか)に霞(かすみ)の中に、敷根(しきね)らしい島と大島らしい島のどんよりと浮んでいるのを見た。岬の東端の海中には、御前岩

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日