すてかご
棄轎

冒頭文

上州(じょうしゅう)の田舎(いなか)の話である。某日(あるひ)の夕方、一人の農夫が畑から帰っていた。それは柄(え)の長い鍬(くわ)を肩にして、雁首(がんくび)を蛇腹(じゃばら)のように叩き潰(つぶ)した煙管(きせる)をくわえていた。そして、のろのろと牛のように歩いていると、路傍(みちばた)の松の木の下に異様な物を見つけた。 「ほう」 それは見る眼にも眩(まぶ)しい金と銀の金具をちりばめ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日