かいじんのめ
怪人の眼

冒頭文

小坂丹治(たんじ)は香美郡(かみごおり)佐古村(さこむら)の金剛岩(こんごういわ)の辺(ほとり)で小鳥を撃っていた。丹治は土佐藩の侍(さむらい)であった。それは維新のすこし前のことであった。 秋風が山の木(こ)の葉(は)を吹いていた。丹治は岩と雑木(ぞうき)に挟まった径(みち)を登って、聳(そび)え立った大岩の上へ出たところで、ふと見ると、直(す)ぐ上の方の高い黒松の梢(こずえ)に一羽の

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日