むすめのいきりょう
娘の生霊

冒頭文

某(ある)相場師の娘が、父親にねだって買ってもらった衣服(きもの)を、知りあいの裁縫(さいほう)師の処へ縫わしにやった。なにしろ相場で巨万の富を積んだ家のことであるから、その衣服も金目のかかったりっぱな物であったろう。またそうした衣服であるから期日も急ぐので、裁縫師は他の仕立物を後廻(あとまわ)しにして裁縫にとりかかったが、期日が翌日の朝になっているので、その夜は一時近くまで仕事をして、やっと縫い

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日