へやのなかをあるくいし
室の中を歩く石

冒頭文

大阪市住吉区阿倍野筋一丁目に、山本照美と云う素封家(ものもち)の未亡人が住んでいた。其家(そこ)には三人の子供があって、長女を政子、長男を政重、次男を政隆と云っていた。 その夏照美さんは、子供たちのために、庭へ小さな池を掘って数多(たくさん)金魚を入れたが、池の周囲(まわり)が淋しいので、石を拾って来てその中へ置いた。それは鶏卵大の石で、数は十六個あったが、そのうち一個だけが赤みがかった

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日