にんぎょうものがたり
偶人物語

冒頭文

古道具屋の大井金五郎は、古道具の入った大きな風呂敷包を背にして金町の家へ帰って来た。金五郎は三河島蓮田の古道具屋小林文平の立場(たてば)へ往って、古い偶形(にんぎょう)を買って来た処(ところ)であった。 門口の狭い店にはもう電灯が点いて、女房は穴倉の奥のような座敷で夕飯の準備(したく)をしていた。 「帰ったのですか、寒かったでしょう」 「平生(いつも)だったら、寒いだろうが、今日

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日