てんちょうせつのしきじょう
天長節の式場

冒頭文

大正十一年十月三十日、横浜市横浜尋常高等石川小学校では、例年の如く天長節の勅語奉読式を挙行した。 その翌日になって、第四年生一組の受持訓導S君は、同級生徒に向って、 「皆さん、あなた方のお友達でありました石井茂男君が、お気の毒にも、一昨日の日曜に、歿(な)くなりました」 と云ったところで、生徒たちは承知しなかった。 「先生、石井君は、昨日式場へ来ておりました」 「嘘で

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日