しろいこいぬをだいたおんな
白い小犬を抱いた女

冒頭文

某夜(あるよ)、某運転手が護国寺の墓地を通っていると、白い小犬を抱いた女が来て車を停めた。そこで運転手は女の云うままに逢初(あいそめ)橋まで往くと、女が、 「ちょっと待っててね」 と云って、犬を抱いたままおりて、傍(そば)の立派な門構(もんがまえ)の家へ入って往ったが、一時間近くなって出て来ないので、運転手はしかたなしにその家へ往った。すると一人の老婦人が出て、 「私の家には、女

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日