おしのようじょ
唖の妖女

冒頭文

明治七年四月のこと、神奈川県多摩郡下仙川村浅尾兼五郎(あさおかねごろう)の家へ妖怪(ばけもの)が出ると云う噂がたった。 それも一度や二度のことでなく、前年の五月から怪しい事が続くと云うので、県庁でも捨て置けずとあって、兼五郎の家へ人をやって取調(とりしらべ)さしたが、原因も判らず相変らず怪しい事が起った。そこで、県警察部でも兼五郎を召喚して、これ亦(また)峻烈(しゅんれつ)な取調をしたが

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日