いはいとねずみ
位牌と鼠

冒頭文

大正十二年の震災の時であった。幡ヶ谷に住んでいた三好七郎と云う人の許へ、荻原高三郎と云う知人が避難して来て、一月ばかり厄介になっていて他へ移って往ったが、移って往く時、 「大事の書類が入れてあるから、すまないが預っておいてもらいたい」 と云って、高さ三尺位の箱を置いて往ったので、三好の方ではそれを壁厨(おしいれ)へ入れておいた。ところで、翌年になって七郎が病気になって夜になると、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日