あさくらいちごれい
朝倉一五〇

冒頭文

洋画家の橋田庫次(くらじ)君の話であるが、橋田君は少年の頃、吾川(あがわ)郡の弘岡村へ使いに往って、日が暮れてから帰って来たが、途中に荒倉(あらくら)と云う山坂があって、そこには鬼火が出るとか狸がいるとかと云うので、少年の橋田君は鬼魅(きみ)がわるかった。 橋田君はその時自転車に乗っていた。やがて荒倉の麓へ来たので、自転車をおりて、それを押し押しあがって往ったが、暗くはなるし人っ子一人通

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日