よせのぼつらく
寄席の没落

冒頭文

少し古い土地の人なら、八丁堀(はっちょうぼり)に岡吉(おかよし)と云う色物専門の寄席があったのを記憶しているはずである。その寄席の経営者は米(よね)と云う仕事師であった。 その米の叔父に一人の僧侶(そうりょ)があったが、それが廻国(かいこく)に出かけることになって、僧侶には路銀(ろぎん)は不要だと云うので、三百円の金を米に預けて往った。そして、諸国を遍歴しているうちに病気になったので、東

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日