ぜんさいのかいい
前妻の怪異

冒頭文

長崎市の今博多(いまはかた)町、中島川に沿うた処に、竹田と云う青年が住んでいた。そこは隣家の高い二階家に遮られて、東に面した窓口から、僅(わず)かに朝の半時間ばかり、二尺くらいの陽が射しこむきりで、微暗(うすぐら)い湿っぽい家であった。 青年は東京で大学を終えて、暫く山の手に住んでいて帰って来たものであるが、結婚したばかりの美しい妻があり、生活の不安もないので、住宅のことなどはどうでもよ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日