しんでいたひひ |
| 死んでいた狒狒 |
冒頭文
昔から山には魑魅(ちみ)、水には魍魎(もうりょう)がおると云われているが、明治二十年比(ごろ)の事であった。日向(ひゅうが)の山奥で森林を伐採した事があって、附近の者は元より他国からも木客(そま)が集まって来たが、その木客だちは、昼は鬱蒼(うっそう)たる森林の中ではたらき、夜は麓(ふもと)に近い山小屋へ帰って来た。 それは夏の夜の事であった。木客たちは夕飯の後で、例によって露骨な男女の話をして
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
- 学研M文庫、学習研究社
- 2003(平成15)年10月22日