くうちゅうにきえたへいそう |
| 空中に消えた兵曹 |
冒頭文
大正七八年比(ごろ)のことであった。横須賀航空隊のN大尉とS中尉は、それぞれ陸上偵察機を操縦してA飛行場に向けて長距離飛行を行い、目的地に到著(とうちゃく)して機翼(きよく)をやすめるひまもなく、直ちに帰還の途についた。 両機は一千米(メートル)の高度を保ちながら雁行(がんこう)していたが、箱根の上空にさしかかったところで、密雲のために視界を遮(さえぎ)られたうえに、エアーポケットに入って機体
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
- 学研M文庫、学習研究社
- 2003(平成15)年10月22日