おばけのめん
お化の面

冒頭文

怪談浪曲師浪華綱右衛門(なにわつなえもん)の家に、怪奇なお化(ばけ)の面があった。縦が二尺横が一尺で、左の眼は乳房が垂れさがったように垂れて、右の眼は初月(みかづき)のような半眼(はんがん)、それに蓬蓬(ぼうぼう)の髪の毛、口は五臓六腑が破れ出た血に擬(まが)わして赤い絵具を塗り、その上処どころ濃鼠(こいねず)の布で膏薬張(こうやくばり)をしてあった。 それは初代林家正蔵が秘蔵していた物

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日