うみぼうず |
| 海坊主 |
冒頭文
これは小説家泉鏡花氏の話である。 房州の海岸に一人の壮(わか)い漁師が住んでいた。某日(あるひ)その漁師の女房が嬰児(あかんぼ)の守をしながら夕飯の準備(したく)をしていると、表へどこからともなく薄汚い坊主が来て、家の中をじろじろと覗き込んだ。女房はそれを見て、御飯でも貰いに来たのだろうと思って、早速握飯をこしらえて持って往って、 「これを」 と云って差しだしたが、坊主は横目でちらと見たばか
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
- 学研M文庫、学習研究社
- 2003(平成15)年10月22日