ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗

冒頭文

兄のたより 明け方から降りだした雪が、お正午(ひる)近くになっても、まだ、止まなかった。 灰色の空から、綿をちぎったような雪が、ヒラヒラと舞い落ちては、音もなく積って行く——。今朝、家を出る時には、それほど積っていなかったが、もう、十二、三センチは、たしかにあるらしい。 英夫(ひでお)は、「雪の進軍」の口笛を吹きながら歩いていた。 雪の進軍氷をふんでどこが河やら道さえ知れず馬は斃(た

文字遣い

新字新仮名

初出

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

底本

  • 少年小説大系 第17巻 平田晋策・蘭郁二郎集
  • 三一書房
  • 1994(平成6)年2月28日