ぎょよう
魚妖

冒頭文

むかしから鰻(うなぎ)の怪を説いたものは多い。これはかの曲亭馬琴の筆記に拠ったもので、その話をして聴かせた人は決して嘘をつくような人物でないと、馬琴は保証している。 その話はこうである。 上野の輪王寺宮に仕えている儒者に、鈴木一郎という人があった。名乗は秀実、雅号は有年といって、文学の素養もふかく、馬琴とも親しく交際していた。 天保三、壬辰年(みずのえたつ)の十一月十

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 鎧櫃の血
  • 光文社文庫、光文社
  • 1988(昭和63)年5月20日